人事戦略
オンライン

アサヒ飲料における、若年層のオンボーディング~採用と育成~

出演者

相田 幸明 様

アサヒ飲料株式会社 人事総務部 部長

相田 幸明 様

林 良知 様

立教大学 キャリアセンター

林 良知 様

楠田 祐 様

HRエグゼクティブコンソーシアム 代表

楠田 祐 様

成瀬 仁美

株式会社ワークス・ジャパン

成瀬 仁美

<オンラインによる採用活動の戸惑いや対策について>

楠田 楠田
最初に相田さん。21卒の学生が今年4月1日に入社してきたと思いますが、彼ら彼女らが就活を始めたおそらく1年前を振り返ると、あの頃からアサヒ飲料さんの採用活動はすべてオンラインでやったんですか?戸惑いましたか?
相田 相田
はい。やっぱりネットワークがあんまり調子よくないときもありますし。会社のネットワークも学生側も、双方でネットワークが落ちて会話ができないとかトラブルがありましたね。
楠田 楠田
ネットが落ちると、企業側も焦るけど、学生も焦りますよね。
相田 相田
そうですね。そこはちゃんと電話でフォローをして。予定がつかない学生とは、電話での面接でをやったりしました。21卒のインターンシップは、コロナが蔓延する前だったので、対面でできました。
楠田 楠田
面接の頃はもうコロナ禍で。面接は何次面接まであるんですか?
相田 相田
面接は3次までです。
楠田 楠田
3次になると、部長とかが面接となると、オンラインで学生を選考するっていうのは、初めてだったと思いますが、面接そのものの見極め方とか何か戸惑ったことはありますか?
相田 相田
面接では、能力面以外に、この人がどういうタイプなのかっていう全体の雰囲気感から見極めるっていうところがあると思うんですけど、やっぱり画面からだとその辺りが見えないですね。
成瀬 成瀬
そもそも4月からは、新入社員の方は出社ですか? それともテレワークですか?
相田 相田
だいたいGW明けまでオンラインで研修していました。GW明けから配属されて、まだ2週間ぐらいです。今年は昨年のことを踏まえて、配属には気を付けましたね。
楠田 楠田
どのような点で気を付けましたか?
相田 相田
2020年の4月、ちょうどコロナの環境になってしまったときに入社した新入社員は、本社に配属になったりいろんな企画部門に配属になったりしましたが、ほとんどオンラインになってしまった。そうすると、当然リアルで仕事を教えてあげることができないので、立ち上がりに相当苦労しました。当然ながらリモートで一生懸命教えたんですが、リアルで教えるよりもリモートのほうがやっぱり難しいと思います。そこを鑑みて、今年は、コロナ禍でも出社をしている部署に配属することにしました。

<会社のカルチャーはオンラインで伝わるのか?>

楠田 楠田
なるほど。では、それじゃあ林さん。今の相田さんのご苦労話、聞いていて、何か感じるところありますか?
林
学生と面談をすると、その会社のカルチャーみたいなところがやっぱりわからなくて不安だと。それは社員と直接会っていないし、実際に働く現場に行っていないっていうところですね。特に去年は最終面接までオンラインが多かったので、不安を抱えている学生は結構多かったです。内定辞退自体はあまり多くなかったのですが、入ってからどうなのかなっていうのはすごく心配していたんですね。先ほど、相田さんは、対面で教えるよりもオンラインで教える難しさをお話していらっしゃいましたが、具体的にどのような点なのかお伺いしたいです。
相田 相田
はい。私たちはブラザーシスター制度を設けていて、初年度は、本当に横について教えるっていうことをやっているんですね。それが、当然リアルに横につけないので、その先輩が持っているものをダイレクトに教えてあげることが、なかなかやりづらい環境でした。営業だったらまだ、一緒に取引先に行くこともできますが、特に企画部門の人たちは、両方ともリモートになっていると、隣にいて教えたり、気軽に声をかけたりということもなかなか難しいというところで、やっぱり成長スピードを心配しております。
林
日本の場合は、その仕事の能力を持っているかっていうことと同時に、企業のカルチャーにフィットするかっていうところもすごく大事だなと思うんですが、カルチャーフィットするかどうかっていうのをオンライン面談だけで判断できるものでしょうか。
相田 相田
難しいですよね。
林
この前も学生から相談を受けたのが、「企業HPを見るとみんな同じようなことが書いてあるんですけど、どうやって区別したらいいですか?」みたいな。それぞれの企業の色とか熱とかっていうのをどこで判断すればいいのかっていうのを、やっぱり今の学生は悩んでいると感じます。
楠田 楠田
難しいんだけど、ある程度、当社の基準に準拠して、面接官もいいねっていうことであれば、内定出して、入社したあとに、当社のカルチャーに染めていくっていうプログラムが必要かもしれないですね。こういうカルチャーの会社ですよって文章で言うだけじゃなくて、本当にExperienceすると、エンプロイサティスファクション、エンプロイエンゲージメントもたぶん上がっていくと思います。
相田 相田
そうですね。
楠田 楠田
アサヒグループホールディングスさんって、広島に林業所を持っているんでしたっけ?
相田 相田
はい。私たちも、コロナの前は、アサヒグループに入社する全社員を一つに集めて、約1週間泊まり込みで、会社のDNAを学ぶなど、そういった取り組みをしていました。でも、やはりここ2年以上できていません。
楠田 楠田
(コロナだから)できないですよね。
相田 相田
また、アサヒグループ全体としての取り組みはあっても、一方で、会社に戻れば個社になっていきますから。我々はアサヒ飲料ですけど、アサヒビールだったらアサヒビールにちゃんと染めていくっていうことが当然必要になります。そういうことがスタートのところでしっかりできていると、当然、配属されてからの立ち上がりはスムーズに行くと思っています。
成瀬 成瀬
20卒の配属でのご苦労があったというお話を頂戴しましたが、実際に現場やその先輩社員・新入社員の間でどんなことが起こったのか、そういったことを人事部に吸い上げるような取り組みやそのための工夫をお話しいただけますか?
相田 相田
先ほど申し上げたように、配属された新人にはブラザーシスターがつきっきりで指導しています。そこで情報が途切れないように、ブラザーシスター側と、新入社員側と、月1回レポートを出してもらっているんです。新入社員側のレポートはブラザーシスターも上司も通らないかたちです。またモチベーションのマップを書いてもらい、今、どんな状態かというのを自己診断してもらっています。当然、時系列でわかりますので、状況があまり良くなければ、面談をしたりだとか。そういった見方をして、特に初年度、しっかり立ち上がっていくようなサポートを人事でもさせていただいています。

【オンライン面接はできてもリアルな面接は不安? 今どきの就活生の悩みと大学の対応は】

楠田 楠田
立教大学さんの取り組みについて。まずは、去年の1回目の緊急事態宣言辺りから、授業はどうなりましたか?
林
昨年の経緯からお話しすると、まさに緊急事態宣言からは授業をすべてオンライン化したため、今の2年生は1年間をほぼオンラインで過ごしました。秋ぐらいに1年生と話したら、「まだ自分が立教大生になった感じがしない」って言われて、結構ショックを受けましたね。そのことで、大学という場所は単に学びを得るだけではなくて、コミュニティとして大きな機能を果たしているんだと、すごく感じました。
この4月からは、改めて対面をしっかりしようということで、対面授業を開始しましたが、緊急事態宣言などが繰り返されているため、どうしても対面でやらなければいけない授業については対面でやっているんですが、基本はオンライン授業です。やっぱり立教を含めて多くの大学は今、対面からオンラインにまた戻ってしまったというような状況です。早稲田大学さんだけは、「授業で感染が発生することはない」ということで頑張っていらっしゃいますが。
そんな中で、面白いと言うか、去年はオンライン面接の仕方がわからないっていうような質問がすごく多かったんですけど、最近、特に22卒は対面の面接の仕方がわからないという相談が。ある意味、学生がすごく柔軟にオンラインに対応したっていうことでもあると思うんですが、面接実践プログラムをした時、「ノックは何回したらいいんですか」とか、「入ったときに荷物をどこに置けばいいんですか」とか。もっと言えば、オンラインのときはカンペ貼って、目線をうまく合わせながらカンペを見て喋っていたけど、対面だとそれができないから全然喋れません、みたいな学生もいたりとか。「最終面接だけ対面で」というような企業が今年は多くなってきた背景には、やはり対面でしかわからないことがあるためではと感じていますね。
楠田 楠田
今の聞いていていかがですか?
相田 相田
そうですね、対面の面接がわからないっていうのはちょっと、驚きましたね。思い返しますと、オンラインでは面接官よりも学生さんのほうが上手ですよね、目線の合わせ方とか。
楠田 楠田
オンライン慣れしていますか?
相田 相田
はい。私たちだとやっぱりちょっと、目線曲がっていたりとかするんですけど。学生はあんまり意識していない。
林
結局は、本来の自分の姿をどういうふうに見せればいいのかっていうのに悩んでいるみたいで。やっぱりオンラインのほうが正直言って創りやすいんじゃないかなと、学生の話を聞いていて思いました。企業様についても、オンラインの中で学生の本質を、どうやって見極めるのかということが結構大事なのかなと。
成瀬 成瀬
今、立教大学の22卒学生達は本選考に向けての準備期間というようなところですか?
林
そうですね。例年よりもやっぱり内定の出だしは早い気はしていますけれども、ボリュームゾーンとしては今まさに面接のピークにきているっていうような状況だと思います。
成瀬 成瀬
22卒学生というのは、おそらく学校生活および就職活動がほぼほぼオンラインだったわけですよね。また、このコロナ禍を、日々感じている世代だと思いますが、その彼らの企業の選び方、もしくはその働き方に関する価値観の変化もしくは特徴をお感じになっていらっしゃいますか?
林
コロナのせいに限らないと思うんですけど、学生のニーズとか働き方への希望とかっていうのは多様化していると思います。よく典型例でお話しするんですけども、安定を求める学生っていうのは多いんですが、安定の求め方が変わってきています。
一つは、自分の能力を高めることで、組織に依存しない安定を求めようっていうことで、できるだけ厳しい環境を選び、ベンチャーであるとか、移転可能なスキルが身に付くような会社を求める人もいれば、やっぱり業界によってはコロナによってリストラしたところも多くなる中で、安定的な会社もしくは公務員になって安定を求めようというタイプと、大きく2つにわかれてきていると思っていて、そこがすごく加速しているかなと思います。そういう意味では個人の能力で安定を得ようという学生については、丸紅さんやKDDIさん、日立さんとかやっていらっしゃる、ジョブ型の一つ「WILLコース」(注:初期配属を確約するライトなジョブ型雇用の形)が合うのかと。職で選ぶ学生も増えてきていますし、もう将来転職前提で就職活動をするような学生も出てきています。学生によって求めているものがだいぶ変わってきていますし、逆に言うと、企業側の選択肢もかなり増えてきていると思うので、そのような変化がコロナによって急速に進んでいったという感じはしています。
成瀬 成瀬
オンライン就活の中での企業の発見の仕方、もしくは自分の軸の見つけ方の点において、立教大学さんではどのようなサポートをされていらっしゃいますか?
林
はい。ここは本当にすごく難しいところです。22卒はナビサイトへの登録のスピードとかは例年に比べてとても早かったですし、エントリー数も例年に比べてすごく多かったというような情報をナビサイトからも聞いていて、かなり早くから視野を広げて学生は企業を見ていたという事実はあります。でも結果的には視野が全然広がっていない学生が多いんですね。やっぱり、まだ見ぬ出会いじゃないですけど、偶然の出会いが明らかに減っているなというふうには思います。
それに対してできることは限られているんですけれども、たとえば営業の仕事みたいなテーマで4社ぐらいに登壇していただき、2社ぐらいは知名度がかなり高い企業、目玉になって参加意欲を促すような企業に出てもらい、その他に関しては、とてもいい企業なんだけどBtoBで学生が知らない企業を混ぜ込みながら、両方のよいところを学生に知ってもらう機会をつくるとか。「まだ知らない企業でもこんないい企業がある」みたいなかたちで、学生にそれぞれの企業のよさ、「この分野ではナンバーワン」みたいなところを伝えていくように、学生にはアナウンスしています。
企業説明の中で最近よくあるのが、IT系企業だと「昔は大変だったんですけど、今は残業もないです。大丈夫ですよ」みたいな感じで、どこの会社でも言うようなことをお話くださるところが結構多いんです。それよりも、たとえば「残業はあるけれどもこういうスキルが身に付きますよ」とか、「ここに関してはまだできていないですけど、ここは特徴があるよ」とか、企業様ごとの良い部分も悪い部分も含めて、「ここは他と違う」っていう部分が絶対ありますよね。そうすると私たちも、学生には「君のタイプだとこういうのが合うよ」っていうふうに進めやすくなります。全体に合わせていくというよりは、各社さんの特徴を出していくようなかたちでお話していただくと、私たちとしてもすごく学生に紹介しやすいですし、学生もそのほうが判断をしやすくなるんじゃないかなとは思います。
成瀬 成瀬
ありがとうございます。
楠田 楠田
相田さん、いかがですか?
相田 相田
そうですね、私たちも当然、選ばれる企業になりたいなと思って、採用活動をしています。その中で今、林さんにおっしゃっていただいたように、会社側もやっぱり、考え方をどういうふうに学生の皆さんに知っていただくかっていうことを重要視しております。そういった意味で、やはりインターンが時間も結構長く取れますから、会社を理解してもらうために良いのかと。インターンは3日間行っていますが、たとえば技術系の学生には、工場に行ってもらっています。工場の中はあまり見せられないという企業が多いと聞きますが、私たちは工場の製造現場の中にすべて入っていただいて、見てもらうということをやっています。工場の技術的な設備を見てもらうとともに、工場の社員ともフリーに交流できるようにして、そこで会社を感じていただくっていうことをやっていたり。
あと、先ほどのキャリアを考えるっていう志向の学生が多いということを我々も理解していて。事務系のインターンでは、マーケティングで商品開発をするインターンと、もう一つ、経営戦略を考えるというインターンも行っています。学生たちと「うちの会社、将来どういうふうにしていきたい?」と、大きく経営戦略を考えていくということで、どういう舵取りをしていくべきかっていうのを4~5人でディスカッションしてペーパー作って…ということをやっています。当然、基本的なデータを渡しますが、そういうことをやっていくと、会社の中のことが数字でもよくわかってもらえます。また、そこに現役の経営企画のスタッフとか、マーケティングのスタッフなども全部くっついて見ています。
楠田 楠田
社員が見ているのですね。経営企画の人も刺激になりますね。あぁ、そういう視点でうちを見ているんだ、逆に学んじゃったなぁ、みたいな(笑)。
林
それ、すごくいいと思います。まさに私たちも立教型インターンシップっていうような独自のインターンシップをやっているんですけども、できるだけ実際の職務体験をさせてほしいということで企業様にお願いをしています。このコロナ禍の中でなかなか難しいところがあるんですけども、そういったワークショップ的なことをやっていただく場に、やっぱり社員の方が介在している、社員の方が見ているということがすごく大事だと思っています。学生だけでやっても、結局、授業と変わらないのです。そこに社員が介在して、「うちの会社だったらこういう考え方だよ」とか「うちの会社のやり方だとそれじゃ通らないよ」といったところ、まさにカルチャーの部分、単純な勉強ではなくて、そういうところを教えていただけるというのが、とても大事だなというふうに思いました。
一方で、あえて言うんですけれども、結構かっこいいプロジェクト型のプログラムをインターンシップでやったりする企業がありますが、結局(入社後に)そんな仕事ができるのは100人いたら2人ぐらいしかいなくて、実態は仕事と乖離しているっていう問題があったり。その辺りはすごく、難しいなと思いますね。
楠田 楠田
今の話を聞いていると、経営企画、人事や工場とかの現場社員と、学生が何か議論したりお互いに何か考えたりとか、そういうのがやっぱり必要になってきていますね。これはコロナがなくなっても必要になってきているんではないでしょうか。
林
より求められているような気がします。ある食品メーカーが、大学1~2年生向けにスタディツアーをやってくださっていて、その企業の工場に行き、工場の方とお話させていただいています。そこは、世界に商品を売っているような会社なんですが、明確に言っているのが、「うちは営業じゃない。生産がすべてだ」と。「生産管理、安全・安心な食を届けることが、会社としての一番大事なこと」って言い切ってですね。「ここを見なければうちの会社はわからない」というようなことをはっきりと言ってくださるんですね。それはとてもわかりやすいなぁと思っています。そういう機会がコロナだからこそ逆にあったほうが、学生にはわかりやすい、やっぱりこの会社はこうだっていうことが伝わりやすいんじゃないかなと思います。
楠田 楠田
事業を牽引していくリーダーを育てるっていうときの本質は、ノックの回数とか鞄をどこに置くかとか、そういうことじゃなくて、やっぱり面接できちっと自分の意見が言えるとか議論できるとか、違う意見でも言える度胸があるとか、何かアイデアをバーンって言うとか、なんかそういうほうが、重要ですよね。他にオンラインで面接する時の、気になることとかありますか?
相田 相田
私たちだけかもしれないんですけど、結構時間が延びたりしますね。たとえば変な話ですけど、会議室の予約の時間とかが一切関係ないので面接官と学生双方とも時間が許せば、そのまま話していいということで、私なんかも30分のところ1時間しゃべっていたりとかね、そういう面接やったりします。
楠田 楠田
会議室で他の人が次に使うとか、次の学生が待っているわけじゃないのであればできますね。そういうことをオンラインで経験すると、今後コロナがなくなったときの面接の仕方も、昔の面接の仕方に戻らないかもしれないですね。
林
今の相田さんのお話を聞いて、その通りだと思いました。大学の先生が言っていたんですけど、大学で教室から教室へ動く間の学生との会話であるとか、授業が終わったあとに残っている学生との雑談みたいなものから、新しい学びが生まれたりするみたいな話があって。オンラインで授業やっているときにも、あえて授業が一旦終わってもすぐに退室せずに、学生が話しかけてくるのを待っている、という話を聞きました。特に22卒、23卒と、オンラインっていう状況の中で「ガクチカが話せない」、「オンラインで何もしてないんです」っていう学生が多いんですよね。当然、コロナ禍でも頑張ってやってきたことはいっぱいあるんですけど、面接で話す自信がないと。相田さんのように、評価っていう観点だけじゃなくて、学生と対等な関係で話す、もしくは引き出していただくっていうようなスタイルで、面接とか面談をしていただくというのは、今の学生にとっては本当に助かると思います。企業側のほうでも、学生の本質をそういうところから見抜けるんじゃないかなというふうに、聞いていて思いました。
成瀬 成瀬
企業側の取り組みとしましては、今後、我々が迎える学生が、どういう活動をしてきていてどういう状態なのかを、面接官や、それこそインターンシップで関わる社員の方にまず共有をするっていうことと、その上でアサヒ飲料としてどういうことを彼らにアピールしてほしいのかという、巻き込む社員に対する共有・育成みたいなところも重要になるかなと思いますが、その辺の採用に関わる方々の組織作りとかチーム作り、気持ちを一つにまとめていくような工夫はございますか?
相田 相田
そうですね。当然、採用基準とかは持っていますけども、面接する人によってある程度はブレてしまうんですよね。そのブレをあまり出さないようにするために縛り過ぎちゃうと、すごく画一的な面接になってしまって。さっきのお話になるんですけど、雑談めいたことからちゃんと人を見るようにしてくれっていうことは言っています。一般的に聞くようなことがたぶんあると思うんですけど、そこを全部制限するのではなくて、人によっては志望動機を聞かなかったりとか。時間の制限はある程度有りますが、その中でしっかり会話する。その会話から、我々が読み取るっていう。そういうことはルールとしています。
成瀬 成瀬
学生は面接対策ということで、入社理由と志望動機、自分の強み・弱みみたいなところはすごく用意してきていると思います。一方で、今、相田様がおっしゃっていたような、雑談みたいなところは、逆に慣れていなくて戸惑うのではとも思うんですけど。林様、いかがですか? 立教の学生は、そういう面接の時に力を発揮できる学生とできない学生っていたりしますか?
林
そこは明確に、やっぱりあると思います。一問一答みたいな感じで「どんな質問きますかね」って言って、100個ぐらい質問書いて、「それに対する回答こうしましょう」みたいなふうに準備している学生もいますから(笑)。確かに、一方でそういう準備よりも雑談のほうが得意というタイプもいると思いますし、いろんなタイプがいると思いますけども、でも、どっちがいい悪いではないですよね。やっぱり決められたことを確実に的確に間違えずにやるっていう人も必要だと思いますし、そういうことにとらわれずに臨機応変に、ある意味尖った形で新しいことをやるっていう人も、両方必要ですし。それぞれ、企業様とか組織の方がどういう人を求めているかによるかな、というふうには思うんですけど。
そこで相田さんにまずお聞きしたかったのが、最近自律人材とか主体的に物事を考えて進めていくような人材が多く求められているような感じがするのですが、そういう人材だけでは組織は成り立たないかなとも思っていまして。アサヒ飲料様としてこういう人材がほしいというベースはあっても、「この部署にはこういう人がほしい」とか部署によって求められる人材像は違ったりしていると思うんですが、採用の中で、「ここの採用はこういう人材を求める採用であって」っていうかたちで分けたりされているものなんでしょうか。
相田 相田
人物像全体としては、ほとんど一つだと思っています。当然ながら、今おっしゃられた、部署ごとに求められるスキルは違いますので、当然違いは出てきますが。この人がどんな人なのか、私たちの会社に合うのか、入っていただいた後に大成する可能性があるのかどうか、私たちはそこを見極めていますので、そうするとやっぱり幅は結構広いというかたちになってきます。その中で、先ほどおっしゃっていた、決められたことをしっかり的確にカチッカチッとできる人も当然必要ですし、一方で型だけにはまっていると新しいことはできないっていうふうにマイナス面が出てきますので、そこも含めてやっぱり両面見ることが大切かなというふうに思っています。
林
ありがとうございます。

<長期的な人材育成を目指す、アサヒ飲料のオンボーディング>

楠田 楠田
次は「アサヒ飲料におけるオンボーディング」。相田さん、アサヒ飲料さんにおいて、オンボーディングって何ですか?
相田 相田
そうですね、入社していただいて、さっき言ったように、いろんな幅感があります。入ってきた人がその幅感を受容しながら、うちの会社に徐々にフィットしていただく、っていう一連の流れかなというふうに思っています。
楠田 楠田
オンボーディングって、既存の社員がよってたかって育てるっていうことなんじゃないかなと思っています。いかがですか?林さんはオンボーディングってどういうふうに捉えています?
林
私も詳しくはないんですけども、まさにビジョナリーカンパニーとか、ある種熱狂的にその会社にはまっていくというところはやっぱりいい企業には必要なのかなぁと思う反面、まさに相田さんが言われていた、画一化するっていうところとはまた違うと思っていまして。それぞれの特徴を生かしながらも、基盤となる部分は揃えていく、っていうところだと思うんですけど。あまりにも同じような人たちばかりになっても、それはそれで組織としてよくないかなと思っていて、その辺のバランスをどうなさっているのかなっていうのはすごく気になったところです。
楠田 楠田
個に重視する、尊重する、ダイバーシティ、っていうことも含めてね。
相田 相田
はい。意識しているのは、まさに両方ですね。で、ちょっと話それるかもしれないんですけど、私たちの世代に比べて勉強している学生さんが非常に多いなっていう印象を持っています。企業選びの視点も、昔はどれだけ儲かっているかみたいな、会社の指標で売上高大きいとか、やっぱり大手だっていうところがあるかと思うんですけど、今の学生は、そっちよりも社会課題にどう向き合っているのかなどを、ものすごく重視しているんですね。
林
そうですね、SDGsとかの文脈で。
相田 相田
そういうことを意識している学生が私たちのところに入って営業に配属されると、やることは、ペットボトルの飲料を売るわけです。で、生産に行くと、これを作るわけです。やっぱりそこのギャップを、いいように埋めないとっていうことだと思うんです。当然、商売、ビジネスなので、経済的価値、財務的価値も出さなきゃいけないですし、一方で、社会に存在している企業ですから、そっちも両方やらなきゃいけないっていう。ただ表面的に見ると、経済的価値のほうに軸足を置いているなっていうふうにたぶん見えてしまいますが、それはそうじゃなくて、その両面があるよという教育を会社の中でしたりとか。で、もう一つは、生産活動、営業活動、当然現場のお仕事なので、なかなか学校で教えてもらうことよりも厳しいとか。そうするとやっぱり、入ってからかなりのギャップを感じる方がいるわけですが、たとえば10年うちの会社にいるとそのギャップが埋まっていって、人によっては会社の真ん中で働いているとか、社会的価値を高める活動をしているとか、っていうふうになっていくと思っています。そういうような、長期的なオンボーディングというか、人材育成になっていくんですけど、そんな考え方で全体を設計させていただいています。
楠田 楠田
アサヒ飲料さんは 20代でもストレッチアサインメントされていると聞きましたが。
相田 相田
はい。今の話の続きになりますが、入社してセールスをしていたり製造していたりっていうところが現実としてあります。ただ10年先を見たときに、名実ともに素晴らしい人は会社の中心で働くっていうことになります。大学卒業してから10年、最短で私たち32~33歳で管理職になっているのです。一方で、セールスだけやっている、製造活動だけやっているとなると、会社の真ん中にはたと立ったときに、しっかりと戦力になれるかっていうと、なかなかそれも難しいわけで。そういった観点から、OFF-JTでの教育がものすごく重要なのかなと思っています。そこで、入社3年目ぐらいから、大学の科目で言うと、経営学とかMBAの世界に近い内容の教育を半年から1年間ぐらい学べる研修を用意しています。参加は手挙げ式で行うんですけども、そこ修了した人には、より一歩二歩高いステージの部署に移っていただいて、新しい職でやっていただく。
楠田 楠田
手を挙げない人もいるのですか?
相田 相田
手挙げしない人もいます。ただ、最近の若い人は、だいたいみんな手を挙げます。
楠田 楠田
そうするとみんな、ストレッチアサインメントしなきゃいけなくなって大変じゃないですか?
相田 相田
1年1年人数が決まっています。
楠田 楠田
受け入れる側は、「そんな若い人がくるの?」っていうふうにならないですか?
相田 相田
それが意外と若い人のほうが喜ばれるんですね。
楠田 楠田
(笑)アサヒ飲料は育てる職場のカルチャーっていうのがありそうですね。だから若い人がくると一生懸命みんなで育てる。みんなで育てるから「オンボーディング」。結果的にそういうカルチャーがあるのですね、もともと。
相田 相田
そうですね。育成の体系はだいぶ進んできていて、同じような手挙げとか選抜のプログラムは各年代で走っていますので。受け入れ側の上司も、だいたいそういう所を卒業している人たちになります。そのため、それを受けて次のステップに行くということが、だいぶ会社の中で定着していますので、そこをネガに感じる方はほとんどいらっしゃらないですね。
楠田 楠田
アサヒ飲料さんは階層別研修ないんですよ。今は入社3年目研修もないのですか?
相田 相田
ありません。
楠田 楠田
そうすると、何も研修しない会社みたいに見えちゃうんだけど、そうじゃないっていうことですね。
相田 相田
はい。それで言うと、むしろe-ラーニングは結構充実していますね。さっき林さんもおっしゃられた、自分で行動して、自分で自律して、キャリア作り上げるみたいなところで、e-ラーニングのプログラムはしっかりありますし、あとは、学びで今やっていることとしては、社内塾っていうものをやっています。
楠田 楠田
社内塾?
相田 相田
当然、会社はエースだけがいるわけじゃないですよね、いろんな人がいて、そのいろんな人の総和が会社のパワーになっていくと思うんです。そういういろんな領域にいる人たちにちゃんと合うように、社内で講師を作ってWeb上で講義をしていくのです。入りたい人はそこに入っていただいて、っていうことで、毎回やると、100~200名すぐに入ってきます。
楠田 楠田
一夜ではカルチャーはできなくて、5年10年やっていくとそのパイプラインができてきますよね。
相田 相田
はい。
楠田 楠田
かつてはどうだったのですか?相田さんが入った頃は。
相田 相田
私が入った頃は階層別研修がありました。
成瀬 成瀬
階層別から、現在の研修にスイッチされた背景には、社内を見渡してうまく成長できていないなとか、いろいろ課題があってだと思うんですけれども、その階層別を止めて今の新しい考え方になった理由のところをお伺いしてもよろしいですか?
相田 相田
もともと階層別研修って長期間やるわけじゃないんですよね。だいたい1日とか2日間とかなんですけど。そこで学んだことがしっかりとこう、心の中に留まっている期間っていうのは、だいたい実体験も含めて、2~3カ月かなぁと思っています。その間に次の行動に移さないと、どうしてもやはり実にならないっていう思いがあってですね。そこは人事に来る前から、「この研修って何だったんだろう」って課題感は持っていて。人事に来る前、私たちが今やっているような選抜型の研修に、たまに私が出させていただく機会があって、そこで1年間のプログラムを受けまして「あ、これであれば残るな」と。受ける人数は少なくなったとしても、実際に年間20人やっていたら20人の心に残って、それが現業にちゃんと生きていく。それを長年繰り返せばいいんですよね。単年20人であっても10年繰り返せば当然200人になりますので。そういう活動を各年代でしていくことによって、ちゃんと1年教育を受けた人たちが増えていくというかたちでやらせていただいています。
楠田 楠田
なるほど。つまり、人材開発が集団管理から個別管理に入ったっていう言い方もできそうですね。
相田 相田
はい。
楠田 楠田
やっぱり、入社3年目とか5年目に人事から言われて研修に出るんだけど、椅子に座っていろいろ議論したりもするんだけど、もう次の日からいつもの自分に戻っちゃう。習ったことを行動変容できるかというのが重要ですよ、と教えても、その習ったこと自体を部屋出ちゃうとみんな忘れちゃう、みたいな。その繰り返しだったのかもしれないですね。研修を受けることが目的じゃない。大学だってそうですよね。大学卒業したあとが重要ですね。
林
大学でも学生には常に「大学のリソースを使い倒せ」みたいなことは言っています。語学に関してもそうですし、ボランティアでも留学でもインターンシップでも、大学を通してできることってたくさんあるので、もう使った者勝ちだよというふうな話をしています。
一方で、選抜的研修となると、手を挙げた人100人中20人かもしれないですが、その格差みたいな、意識の格差や能力の格差もそうかもしれないですし、色々なものが今までみたいに一律に年代ごとにだいたい同じっていうことじゃなくなることの弊害みたいなのはないのかなと、少し、疑問を感じたんですが、そこはどうでしょう。
相田 相田
始める前にその議論はしていました。ただ、実際始めてみると、「あいつもやっているから俺もやろう」っていう意識のほうがたぶん強いです。いい競争意識というか。実際やってみると弊害は意外となかったですね。あとは、上司がすすめます。
楠田 楠田
「忙しいのに、行かなくていいんじゃないの?」とかは言わないのですね。こういうのが特徴ですね、アサヒ飲料の。
林
先ほどのオンボーディングの話で、入社後にどこまで染めることができるのかっていうところと、もしもやっぱり主体的に動けない学生がきたとしてもアサヒ飲料さんの中に入っていけば、主体的な人間に変わっていくのか、やっぱり変わるものと変わらないものがあると思うんですけど。その辺をどういうふうに考えて、採用のところでは絶対これは外せないとか、入社前にはなくても育成でなんとかできるとか、どういうふうに決めごとをしていて、というのを聞いてみたいです。
相田 相田
そうですね。採用で、一定の幅感で入ってきます、としたときに、当然こう、なかなかうまくいかないっていうケースもあるわけです。その際に、さっきの手挙げの研修に出るかどうかは別にして、私たちの考えなんですけど、仮にたとえばセールスでうまくいかないっていうのがあったときに、どういうことが得意分野になるのか、その人と何度も面談をして、その得意分野に配属し直します。基本的にはやっぱり、うちの会社でまずは立ち上がってもらう。営業が駄目であれば別に人事でも何でもいいんですけど、最初に自分の自己をまずしっかり作ってもらって、それを20代のうちに絶対やってもらいたい。
楠田 楠田
自信を付けさせているのですね。
相田 相田
はい。そこは大事にして、相当力を入れています。
楠田 楠田
若年層に自信を付けさせていくことで、結果何が起きるかっていうと、「この会社で長期働こう」っていうふうになりますよ。それから、ある程度人間が育つと、恩返ししなきゃっていうふうになるから、リテイションもよくなるし、パフォーマンスも上がってくると思います。
成瀬 成瀬
相田様に視聴者の方から、階層別研修の廃止についていくつかご質問をいただいています。
「大前提として、能力開発は自身が自主的に行うという企業文化だと思っています。そこについては上司部下含め一朝一夕には築けないと思いますが、階層別研修の廃止はそういった雰囲気作りに一役買いましたか? 」というご質問です。また、「能力開発は自身が自主的に行うという企業文化を築くにあたっての導入当初の施策、もしくはご苦労された部分をより詳しくお伺いしたい」というようなご質問がございます。
おそらく、人材育成の考え方を変えていくというような新しいことを始めようとしたときには、新しい壁だとか、とてもご苦労があったのではと思いますが具体的にはいかがでしょうか。
相田 相田
この活動は実はアサヒグループホールディングスからスタートしているんですけど、約10年この活動をしていて。アサヒ飲料個社では約6年になっていますので、さすがに、6回繰り返すと、それが4つの年代で走っているので、もうエースを出していくということが当たり前になっているっていうことですね。
成瀬 成瀬
今、4つの年代とおっしゃいましたが、今まさに、「この社内の手挙げ、選抜研修の内容について、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか」とご質問いただいております。
相田 相田
4つの年代でいきますと、最初の年代は入社して3年目ぐらいからですね、手挙げ式で、募集をして、受講していただくと。そこから先が、30歳前後の人たち。で、40歳前後ですね。40歳前後はもう、まさに次世代の経営を担っていただくっていうことで、ここからは選抜になります。続いて50歳前後は、本当に次の経営者ということで、これも選抜選定されて受講します。プログラムとしては、だいたいMBAの課目が主ですが、年代が上がっていくにしたがって、経営者をイメージしていきますので、リーダーシップとか、経営者の志とはなんだっていうところのプログラムの構成になっています。特に一番若手のところは、いきなり会社全体のことを語れといってもなかなか難しいので、とりあえずは自部門を「こう変えたい」っていう意見を出してきます。当然ながら、生産、営業、研究所含めて、大学で学んできたことがたぶんベースになっているんだろうなと思うんですけども、自分がこの部門を率いたとしたら、どういうことをやりたいのかっていう提案につなげるような仕組みになっていますね。
楠田 楠田
20代の人が改善提案してきますか?
相田 相田
はい。結構いい提案してきますね。
楠田 楠田
アサヒ飲料さんには心理的な安全があるんだよ。英語で言うとpsychological safetyだよね。若い人も、改善提案を言っていいんだっていう。入社3年も経てばさ、「これ、変だな」っていうの、わかってきますよね。何事も。社歴が結構長い人たちは、気が付いていないですよね。ずーっと、歴代、昭和時代からやってきているから。自分の会社しか知らないで、「いや、世の中そうだろう。そんなもんだろう」と思っているかもしれない。だから3年目ぐらいの人っていうのは、そういうようなことをやっぱり客観視できるわけですね。そういう意見を聞くっていうことは、将来の経営改革をするときにも、有効ですね。小さい成功体験を作っていうのは重要。会社全体からしたら職場の改善なんか小さいことですよね。でもそれが幹部になったときもそういうことができるようになる、「はじめの一歩」のところだと思う。そういうことを変えていくというのが重要で、それを(若手に)言わせている、言っていいっていうのが重要ですね。
成瀬 成瀬
いいですね。「はじめの一歩」っていう表現を、先生がおっしゃいましたが、いきなり「今の会社の課題を」とか「会社の未来を」って言ってもなかなか難しいので、今自分がいるその範囲の中での改善点を挙げるというのがすごくいいですよね。たぶんそうすることによって、仕事が自分事化していくというか、目線が変わりますよね。「じゃあ今、自分の部門ってどういう状況なんだろう」とか、他人任せではなくて自分事化して、どんどん改善策を考えるようになるのかなぁ、なんていうふうに思いました。

<これからの採用活動、これからの大学の在り方>

成瀬 成瀬
これから面接される22卒学生にも、このオンボーディングを適用されていくイメージですか?それともまた何か新しいことを考えていらっしゃいますか?
相田 相田
何度も繰り返しになるんですが、一定の幅で学生さんが入ってきますとしたときに、うちの会社にどう、綺麗につなげていくかっていうところには結構こだわりを持っています。コロナ禍がたぶん来年、ある程度終わっているだろうっていう想定をもとに、終わったとしたら何をするんだっていうところを今、議論しています。やっぱり、マインドの醸成のほうにもう一回戻るべきかとも思っています。ここ最近の学生は、それなりの勉強をして入ってくるっていうことは検証できましたので、やっぱり心をどう作ってフィットさせていくかっていうところになります。個人の心じゃなくて、我々はアサヒに合う心を学んでもらって、それを持ってやっぱり現場に行ってもらうっていうところをしっかり作ってあげることかなというふうに思っていますね。
成瀬 成瀬
ありがとうございます。アフターコロナの準備中っていうところですかね。
相田 相田
大学の教育の中で、これだけ勉強されている学生が増えているというのは、大学の中でどういった活動があって、どのように質を上げていくっていうことをやられているのか。林さんに、ちょっと教えていただきたいのですが。
林
大学もやっぱり変わってきています。今は真面目な学生が増えて、しっかり勉強しているっていうことが一つありますし、教育の質保証ということで、かなり大学も授業を工夫してやっています。それこそ企業様から課題をいただいて、その課題に対してグループを作って、それに教員が一人ずつ付いて、プロジェクト型の授業ということで、提案をし、そのあとでコンペをして、優勝者は実際に企業にプレゼンする、みたいなかたちで、学生が興味関心を持つような、今の学生のニーズに合った授業っていうのを、大学がかなり増やしているというところは大きくあるのではないかなというふうに思います。そういう意味では、大学もいろんな状況の中で変わってきていることは、皆さんに知っていただきたい、ぜひ理解いただきたいなというふうに思っています。なので相田さんに、今の学生はすごく勉強していると言っていただいて、立教生だけのことじゃもちろんないですが、大学人としてはすごく嬉しいなぁというふうに思いました。
楠田 楠田
そういうかたちでやっぱりキャリアサポートされていくんだなっていうことと、大学の授業も白板のほう向いてお尻向けて白板に書いているだけの先生っていうのは少なくなってくるんだろうなっていうことと、インタラクティブになってきているなっていうのが、相当重要ですね。ただ、聞き方間違えると、「立教って就活予備校なんだ」となるので、もう一つお願いします。
林
おっしゃるとおりで、必ずしも大学、特に立教の場合は、リベラルアーツという大学ですので、実務家養成であるとか、社会・企業に優位な人材を輩出するっていうことだけではないと思っています。よき社会人であるとかよき市民を育成していくっていうことになります。なので、社会に適した、学生の興味のある、学生のニーズの合った事業をすると同時に、やはり私たち私立大学として伝えるべきこと、当然、一方的に授業すること、伝えたいことを伝えることもありますし、その中から学生自身に感じ取ってほしい。だからそういう意味では、学生のニーズに寄り添わない授業もあったりしますし、それこそ輪読っていうかたちで一つの、19世紀とかの本を英文でひたすら読み続けるようなゼミも残っていますし、立教大学としてはそういったところも大切にしているというところで、バランスかなというふうには思っています。
成瀬 成瀬
楠田先生、相田様、林様、ありがとうございました。「アサヒ飲料における若年層のオンボーディング」、これにて終了とさせていただきます。誠にありがとうございました。