採用活動
出演者
パナソニック株式会社
リクルート&キャリアクリエイトセンター 採用部 採用課 西日本採用ユニット
ユニットリーダー
櫻井 修治 氏
三井住友海上火災保険株式会社
人事部 採用チーム
課長
保坂 宇衣 氏
2003年に入社し、11年間首都圏エリアでリテール営業を担当。
その後2014年に自動車保険部に異動し、主に企業向けの自動車保険を担当し、2016年10月に現所属に着任。
株式会社ワークス・ジャパン
人材ソリューション事業部 ITソリューション部コンサルティング課
課長
阪 真以子
コロナ前の「リクルーター活動」「OBOG訪問」
- 阪
- 本日のテーマ「リクルーター活動」につきまして、コロナ禍になる前に、そもそもどのような活動をされていらっしゃったのか、まずパナソニック様にお話をお伺いします。櫻井さんいかがでしょうか。
- 櫻井
-
弊社のリクルーターの活動は、事務職・技術職で若干異なりますが、私は技術系を担当しているので、技術系のお話をさせていただきます。約1000名の社員をリクルーターとしてアサインし、活動していただいています。内容については、研究室の訪問や、セミナーの実施、一部、優秀学生の見極めをしていただき、内定までのフォローをしてもらっています。
研究内容や学生のやりたいことをリクルーターに聞いてもらい、「ここがマッチするのではないか?」とコースの誘導をすることも、一(いち)ミッションとしてお願いをしています。今年度はコロナの影響もあって、対面での対応ができない中で、見極めがなかなか難しかったと感じています。
- 阪
-
後ほど、22採用に向けてどう取り組んでいくか、お話をお伺いできればと思います。
続きまして、もう一つのテーマとなっているOBOG訪問ですが、従来どういった取り組みをされていらっしゃるか、三井住友海上様にお伺いします。
- 保坂
- 当社では例年、4~5月にかけて、学生に「Webから社員訪問」という仕組みを提供しています。これは、当社のマイページに、全国の社員約2000名の自己紹介「こんな仕事をしています」と紹介文を掲載し、学生が会いたい社員に社員訪問を申し込むことができるという仕組みですが、もう10年以上実施しています。学生の方から「社員訪問したい」「大学にOBOG名簿がないため、どうしたらいいか」という問い合わせが、かなり多く入っていたので、プラットフォームを用意したいと考え、運営しています。
21卒オンライン選考の課題
- 阪
- 21採用をオンラインで選考を実施された中での課題や不安について、整理してお伺いできればと思います。櫻井さん、いかがですか。
- 櫻井
- はい、やはり不安は大きくありました。一つは、先ほど申し上げましたとおり、オンラインになったことによって、対面での良さがどうしても伝わらないというところが、課題だと思っています。と言いますのも、例年、内定者にアンケートを取っていますが、やはり決め手の一番として「人の良さ」や「雰囲気の良さ」が上がってきます。それは対面での空気感などの影響が、非常に大きかったのではないかなと思っていて、それが失われたということがオンラインで1番難しかったと感じています。これをどのように伝えていくのかが次年度に向けた課題になってくると感じています。
- 阪
- そのあたりは、保坂さんも同じようなお悩みを持っていらっしゃいますか?
- 保坂
- そうですね、櫻井さんがおっしゃったのと本当に同感ですね。あとは、オンラインだと伝わりにくい雰囲気ですね。社員訪問にあたって、学生の方が会社に直接来られるじゃないですか。そこでたとえば、エレベーターの中での社員のやり取りを聞くとか、雰囲気を感じるとか。社員訪問に付随して、学生の方に何か響いているものがあると思うのですが、そのような機会がなくなってしまい、非常に残念だと思います。学生の方もオンラインが続くと、通信環境を整えたり、新しい問題も出てきたりして、結構大変だなと思っています。
オンライン選考での「見極め」
- 阪
-
「見極め」はいかがですか? 情報提供や温度感を伝えることに加え、学生さんを見るポイントもまた難しさの一つだと思うのですが、いかがでしょうか。
- 保坂
-
そうですね、私も櫻井さんにぜひお伺いしたいと思っていましたが、見極めは、なかなか難しいという実感はあります。2点あって、まずは学生が必要以上に緊張している、ウェブ慣れしていない、特に今年は初めてだったので、その中でどうやってほぐして、自然体の姿を見るか、というところが難しかったです。あともう1点は、見極めで、特に学生からの熱量や志望度が伝わりにくいのではないかと。
- 櫻井
-
はい、難しいですね。それは私も感じています。見極めのポイントはありますが、そこだけではなくて、やはり。そのリクルーターに、前の段階でやり取りをしていただきながら、学生の抵抗というか壁を少しずつ崩していきながら、自然体で面接に挑めるような仕立てにしているという状況です。
ただ、今回難しかったのが、リクルーターって、学校の先輩で、学生からしたら身近な方なので、とても支援してくれるフォロー者です。それが、対面ではなく、WEB面談になるのでは、会社の人になってしまいますね。なので、学生もリクルーターにすら緊張してしまう状況になってしまうので、そこを払拭するのが難しかったと感じています。
それを払拭するためにリクルーターの方が何度も、個々にやり取りをしてくださって、徐々にその心理的不安みたいな、心理的緊張みたいなものを緩和してくれて、面接が成り立ちました。
今回、私どももオンラインでの実施は初めてだったので、右も左もある意味わからず、どうしようかとなっていたのですが、リクルーターの方々が、いろんなことを経験する中で、「こうしたほうがよかった」というのを見つけながら、今年は進めてくださった、という感じですね。
- 阪
- なるほど。ご自身も就活の中で、リクルーターに助けていただいたなという気持ちを持っている方が多いかと思いますので、自分も後輩をどうサポートできるかと取り組んでいただけたというところになるのかな、と思いますね。一方で、メリットもあるかと思います。その辺りはいかがですか?
オンライン選考のメリット
- 櫻井
-
メリットは大きく2点あると思います。どこの企業様も一緒だと思いますが、1つがコスト。交通費ですね。これは学生にとってもメリットがあったかと思います。もう一つが、時間的なコスト。時間的な工数がとても削減できた点は大きかったと思っています。それが「下がったからよかった」ではなくて、時間的なコストが下がった分を、フォローを手厚くすることに費やすようシフトチェンジしていきたいと思っています。
もう一つが、面接官の調整に関しても大きく良かった点があると思っています。今までは、出張を伴ったり、面接官に「お願いします」と依頼してからも、だいぶ時間がかかってしまったりしていました。それにより、タイムラグが出ていたので、学生を今すぐ見たい、学生も今すぐ企業を受けたいってなったときに、すぐさまその設定ができるという点は、このオンラインの非常にメリットとして大きかったかなと感じています。
- 阪
- 特に選考においては、会議室が確保できるかが、面接の枠数の足かせになっていたと思いますので、オンラインで自由度が高まっているかもしれないですね。保坂さんが感じられているメリットはいかがでしょうか。
- 保坂
- そうですね。櫻井さんがおっしゃったとおり、場所とコスト、移動時間の問題はありますね。特に、コロナもあって在宅勤務になり、当社も出社制限をかけているので、在宅勤務でも面接ができる、学生とコミュニケーションが取れるというのは、やはりオンラインのメリットだと思います。あとは、場所の制約がなくなったという点はすごく大きいです。今、インターンシップをオンラインで実施しているのですが、北は北海道から南は沖縄まで、全国の学生がインターンに参加をしてくれたり、社員訪問のときも、今までは対面なので、遠いところの社員には会いに行けなかったのですが、それこそ、首都圏の学生が、大阪の社員の話を聞くといったことができるようになったりしているのは、すごくいいなと思います。
- 阪
- 場所の制約がなくなる点は、学生さんにとっても一番メリットですよね。特に地方の学生さんの、インターシップの参加が数としても上がってきているという話は企業様からも聞きますし、受け入れのキャパも、インターンシップの建て付けにもよりますが、セミナー形式での実施で、受け入れが増えていますので、企業様も接触機会を増やしていける、学生さんにとっても情報が得られる機会が増える、という点でのメリットはあるなと思います。実際、メリットとデメリットを踏まえて、今年の学生さんとの接触のご方針をお伺いできればと思うのですが、実際はいかがですか?
22卒採用は「オンライン」か「対面」か
- 櫻井
- そうですね、パナソニックは基本的にはオンラインで実施すると思っています。一部、ハイブリッドにできるところがあるかなと探っていきたいとは思っているのですが、今のコロナの状況ではオンラインを基本として、設計しているという状況です。
- 保坂
-
当社も基本的には、オンラインを積極的に活用していきたいと思っています。情報発信というところでは、やはりオンラインが、ひとつ、有効な手段になってくると思いますし、選考の過程では、今年当社は全部オンラインだったのですが、やはり1回ぐらいは会って、会社に来てほしいなという気持ちもあるので、選考はハイブリッドでやっていこうかなと考えていますね。
- 阪
-
ありがとうございます。少し情報として挟ませていただきますと、大学の状況として、メディアでも報道されているとおり、10月以降、対面での授業も、安全に配慮しながら実施するとありました。私もいくつか、大学のHPを「大学名 コロナ」で検索して情報を見てみたのですが、ちょうどこの9月末から10月1日にかけて、各大学のコロナに対する取り組みの指針が更新されていました。本当に大学によってまちまちではありますが、総じて危険レベルの引き下げと、学生さんの授業、ゼミに関しては、工夫をしながら対面でやっていくと発信されていらっしゃるかと思います。一方で、サークル活動や、外部の立ち入りに関しては、大学によって対応が異なり、また、大学職員、キャリアセンターの方に関しては、在宅勤務を部分的には継続していくという方針が出ているのが、総じてあるかとは思いました。
10月1日に就職ガイダンスをオンデマンド配信されていらっしゃるような大学もありまして、大学の方針についても様子を見ながら変わっていくかと思います。実際、リクルーター活動は、大学に行かれて実施されることもあるかと思いますが、その辺りはどのようにお考えですか?
- 櫻井
- そうですね、今までは基本的にはお伺いしていましたが、それは難しいのだろうなとは感じています。今までは、「こういうふうなかたちで求人出します。よろしくお願いします」というかたちで挨拶も終わっていたのが現状ですね。逆に言えば、それだけであれば、別に行かなくてもいいのかなというふうにも思っています。もっと大学の先生と、より強固な関係を築いていきたいなと思っています。「求人出しました」だけではなくて、「こういう人がほしいです」「なのでこういう活動を進めていきたいと思います。どうでしょう」みたいに、もっと先生と握り合えるような関係性を築いていくような訪問、ないしはオンラインでのやり取りに、シフトしていこうかなと感じています。
- 阪
- 理系は就職担当教授であるとか、採用実績のある研究室の先生との関係性がすごく大事だと思うのですが、実際、研究室の教授の方と企業さんとのやり取りのオンライン化については進んでいるのですか? ウェブで面談することもありますか?
- 櫻井
-
就職担当教授によりけりだと思います。アポイントを取る中で、その辺りを聞きながら、進めていくしかないのかな、とは思っていますね。
- 阪
- 御社にまだアプローチされていない学生さんとの接点の持ち方というところでは、どのようなかたちで検討されていますか?
- 櫻井
-
今までも、研究室や学科系統で、メーリングリストであるとか、連絡ツールみたいなものが、基本的にはあったりします。それをいかに把握しているかというのが非常に大事です。幸い私たちは、リクルーターを何年も配置しているので、そういう情報を持ち合わせています。ですので、新たに大学に行って、必ず学生さんを見つけてこないといけないというような状況ではないのかなと。そういう情報を使いながら、パナソニックのイベントとか、こういったことをするとか、というのをしっかり訴求できるように進めていきたいなと思っています。
ただ一方で、一見さんみたいな、今まで行っていたからこそお会いしていた方とは、接点は少なくなると感じているので、その部分においては、まだ、はっきり解答が出ていないという状況です。
- 阪
-
改めて、アプローチできていない大学に、どういうかたちでアプローチをするかという作戦を練り直すいいタイミングでもあるかもしれないですよね。
リクルーターさんと学生さんの面談自体は、どういう方式で実施されますか?
- 櫻井
- おそらくオンラインになるだろうと想定はしています。今年、その経験はできたので、その経験を踏まえながら、先ほど申しましたように、1000名いれば、どこかでよかったところや「こうしたほうがよかったんじゃないか?」などを議論し、ノウハウは溜まってはきています。その辺りを横展開しながら、オンラインでやっていただくことになるのではないかと思っています。
リクルーターへの協力依頼と管理・運用方法
- 阪
-
学生さんとの連絡の取り方や情報提供の仕方については、リクルーターチームの中での情報共有などがされていらっしゃるような感じなのでしょうか。
- 櫻井
-
そうですね。大学軸でリクルーターを組成しており、しっかりチームで共有をしながら進めていってくれていると思っています。
- 阪
- ちなみに、聞ける範囲で、お答えいただきたいのですが、実際、リクルーターの方の年次や構成についてはどのようなかたちなのでしょうか。
- 櫻井
- 比較的幅広い層にしています。ただ、できるだけ近しい先輩がフォローするというのが、学生にとって良いのかなと思います。身近な先輩が聞いてくれるとか、相談がしやすいというのがあると思うので、できるだけ年次が低い方々から選定するようにはしています。ただ一方で、見極めをしていただくとなると、そういう方々だと難しいと思うので、二本立てにしているっていう感じですね。見極めのほうで活躍していただくリクルーターは、少し年次が長い方にお願いをしていて、フォローでしっかりと寄り添っていただくところは若年層というか、少し若い方にお願いしているというのが、今の体制です。
- 保坂
- リクルーターへ、「こういうふうに進めていってください」「今年はこういう人材を採りにいきます」ということについては、どのように伝えられているのでしょうか。
- 櫻井
- 1000名を一堂に会して、今までは実施していました。半日かけて、しっかりと、「こういう人材に」「こういうふうな見極めの仕方をしてください」と。「こういうふうな繋がり方をしてください」というようなかたちでやっていました。そのあとは、各チームでしっかり計画を立てて、そのチームリーダーの方が、PDCAを回していくみたいな形で実施しています。今回いい機会だなと思っているのが、ウェブになったので、私もリクルーターと接点を持ちやすくなったと思います。今まではスケジュールを決めて「これでやってくださいね。あとはお願いします」ということで、ある意味丸投げだったのが、こういう機会で、やっぱりチャットでやり取りしたりすることが多く、「あ、意外とできるじゃん」ってなりました。それであれば、「これでやってください」ではなくて、もっと、私たち自身もリクルーターに関わりながら、「この大学はこの攻め方のほうがいいのでは?」という、私たちが持っている情報も伝えながら、各チームとより密接に動いていくような仕立てにしていこうかなと思っています。なので、今回ウェブに変わったというのは、いい機会だなというふうに改めて捉えていきたいなと思っています。
- 保坂
- ありがとうございます。
- 阪
-
チャットで「話を聞きたい社員さんへ学生さんからアプローチする、プラットフォームやツールって、どのようなものを使われていますか?」というご質問いただいているのと、「ツールの管理・運用の役割分担は?」というご質問が上がっているのですが、その辺りはいかがですか?
- 櫻井
-
プラットフォームとしてはワークスさんのシステム使っています。でも、密なやり取りに関しては、お任せしている部分があります。メールでやり取りしてくれているリクルーターの方もいらっしゃいますし、Skypeでやり取りしてくださっている方もいるので、そこはまちまちかなというふうには思っています。
- 阪
- システム上で、対象となる学生さんたちをチームに割り振るところまでを人事さんでされて、そのあとからどうアプローチしていくかについてはチーム単位で取り組まれているようなかたち、でしょうか。ちなみに、リクルーターさんの、活動に対するインセンティブはありますか?
- 櫻井
-
まったくないですね。本当に今の業務にプラスオンしてやってくれているというのが現状なので、ここのモチベートをどうするかについては、常に課題かなと思っています。人事の担当役員から依頼を出して、キックオフで一堂に会したときでも、「よき経営はよき採用から」というところを懇々と伝えています。経営に携わっているという意識を持ってもらうことが、すごく大事かなと思っています。
例年、リクルーターの一番のモチベーションの元になっているのが、自身の就職活動の時に、自分がやってもらったから、なんです。自分が入社するときにすごくお世話になったとか、プレゼンテーションの添削をしてくれたとか、そういう経験がとてもあります。じゃあ、私も恩返しじゃないけど、後輩に、それをやってあげよう、みたいな。そういう文化がこう、だんだんいいサイクルで回ってきているのかなというふうには思います。
OBOGへの依頼と管理・運用方法
- 阪
-
そうですね。採用や人材に対するその文化づくりというところもあるのかなとは思いますね。三井住友海上さんのOBOG訪問についてもお伺いしたいのですが、こちらも、協力いただく社員さんの規模は大きいと思うのですが、どれぐらいの人数、毎年対応していただいていますでしょうか。
- 保坂
- 毎年約2000人の社員に協力をしてもらっています。
- 阪
-
ご依頼の発信をされて、快く引き受けてくださるところが、パナソニックさんと同じく文化づくりがされていらっしゃるのかなとは思うのですが、実際、今年、コロナの中で、オンラインで社員訪問を実施されるかと思いますが、今年はどのようなかたちで実施されていく予定でしょうか。
- 保坂
-
22年卒は来年の4月ぐらいなので、ちょっとコロナ感染拡大の様子も見ながらですが、環境が許せば、対面で社員訪問はしてほしいなと思っています。ただ、オンラインのメリットもあるので、たとえば海外駐在をしている社員を含めて、オンラインで学生が社員訪問できるとか、そういう仕組みは作っていきたいなと考えています。
- 阪
- 今までは、関東の学生さんが関東の社員さんに会うというふうに制限されていたので、幅が広がりそうですよね。
- 保坂
- はい。オンラインだと、選択肢は広がります。
- 阪
- その中で、働く魅力を伝えるという点で、オンラインで気をつけていらっしゃるところ、気をつけようと思っていらっしゃるところはありますか?
- 保坂
- 創意工夫の世界だと思っているので、社員訪問というよりは、ウェブセミナーや、何か情報発信をするときには、極力、社員複数人で出て、現場の社員にも出てもらうようにしています。その社員同士のやり取りを見てもらうことによって、会社内の雰囲気が伝わりやすいのではないかと思っています。そのため、複数名で出るということを、意識をしています。上司・部下や、指導担当と新入社員というような、そういう関係性を伝えたりしていますね。あとは、接続状況によって、音声がうまく繋がらないケースもあるので、伝えたいことは文字にするということは心掛けています。
- 阪
- インターンシップをされていらっしゃる企業様のセミナーを拝見しましたが、パワーポイントの作り方一つもだいぶ変わってきたなと。すごく簡潔で、見やすくて、わかりやすくというところを心掛けて再編されている企業様が多いのかなとは思ったりはしますね。
- 櫻井
- 保坂さんに質問ですが、複数名で対応するとなると、社員さんのモチベートはどうされているのですか? 「え~っ」ってならないですか?
- 保坂
- はい。そうですね、社員訪問は1対1で実施しているのですが、セミナーだと、「印象に残った社員の、印象に残ったコメントがあったら教えてください」と終了時に学生にアンケートを取っています。それを、出てくれた社員にフィードバックをしたり、その上司に対して「このぐらい素晴らしいお話をしてくれていましたよ」みたいな話を人事からしたりしています。当社もやはり、採用業務は全社員の本来業務の一つというふうに位置づけているので、そういうふうにしっかり、還元していくというか、フィードバックしていくところは、意識をしています。
- 櫻井
- ありがとうございます。
- 阪
- フィードバックがあると、社員さん自身の働きがいにも繋がってくるでしょうし、所属長の方も、仕事の傍らご協力いただく中でも、「じゃあこの社員に協力させよう」や「この社員を成長させるために採用に関わらせたいな」と思っていただけるのかなと思いますので、すごくいい取り組みだなと思いました。
- 保坂
- 当社では、もう10年以上やっているので、学生の中での認知度は高くなっていて、申し込みを始めると、2000人が一瞬で埋まるぐらい、やはり社員訪問が求められているのだと実感しますね。
リクルーター/OBOG協力社員の選出基準
- 阪
- チャットで「協力していただく社員さんの、選出基準や選出方法はありますか?」 というご質問を頂きました。
- 保坂
-
当社だと、基本的には上司からの推薦ですね。こちらからは、「今の仕事に対して前向きに分かりやすく学生に伝えられる方」と、推薦イメージを上司の方にお伝えして、そのイメージに合う社員を数名推薦してもらうので、会社の代表として学生対応をしてもらっているという位置づけになっています。
- 阪
- リクルーターさんの選出基準はいかがですか?
- 櫻井
-
上司の見方というのも当然あります。いろんなものを掛け合わせて見ています。一番大きいのが、やはり続けてきたっていう経験値が大きいです。経験者を基準に、経験してくれたらその年どうだったのかというのがある程度わかるので、そこで活躍してくださった方は、できるだけアサインしてくださいというかたちでお願いをしている状況です。
もう一つが、リーダーに対して「この方は次のリーダー候補になり得るよ」というアンケートもさせていただいていて、じゃあ次、その方を基本に組成していこうみたいなところで考えています。
- 阪
- 選出基準を、単純に年次や所属だけで区切らず、いかに魅力的に学生さんにお話ができる方なのかというところに踏み込んで選んでいらっしゃるところが、両社も共通していますね。
- 櫻井
- そうですね、あと、学科専攻のバランスも見ておかないと、今の学生って、何がしたいとかこんなことしたいということが、明確な学生が多いです。質問に対して、同じ学科系統だと答えられたりするんですよね。「じゃあこういうところで活かせれるんじゃないの?」とか。それって学生さんにとってはすごく喜んでくれたりする部分ですので、学科専攻も見たりしています。
オンライン選考をする上での学生への配慮
- 阪
-
三井住友海上さんの取り組みは、自分が会いたい社員さんを選んで、マイページで予約をさせるというかたちなので、学生さんが会いたい社員さんに会える仕組みをご提供しているかと思うのですが、パナソニックさんでは、そういうミスマッチを防ぐための取り組みとしては、別の社員様にも会えるようなかたちにして、補っていらっしゃるのでしょうか。
- 櫻井
- そうですね、何度か見極めのフェーズを設けていて、そこでしっかりと見させていただくことにしています。
- 阪
-
伝え方としては、ウェブならではなのですが、通信環境が不良だからといって、学生さんを判断しきらないようにするとか。アイスブレイクをしっかり設けてあげる等が重要なポイントになりますね。
- 保坂
- そうですね。そういう意味では、選考のときも、ちょっとでも音声が聞き取りにくかったりしたら、すぐに電話に切り替えてもらえるように、そこはかなり面接官にも説明をしました。やはり時間がなくなってしまって、話を聞く時間が短くなると、学生のやりきった感もそうですが、満足度もやはり下がってしまうので、すぐに切り替えてくださいと伝えています。選考については、あらかじめ志望度・熱意は伝わってきませんので、それを踏まえてきちんと見てくださいという説明もしていました。志望度や熱量は、言葉にしてもらわないとわからないので、そこはしっかり、こちら側が引き出すというか、言葉にしてもらうように促すというか、それが大事かなと思っています。
- 阪
- 弊社の採用活動でも、オンラインで座談会を実施しましたが、発言のタイミングや、他の人が質問するのかな、どうしようかなと、おそらく様子を見ながら、待ってしまう学生さんもいらっしゃったので、逆に人事や社員さんのほうから「こういうことに関してはいかがですか」という質問をどんどん振ってあげる必要があるかもしれないですね。
- 保坂
-
インターンシップの選考で、オンラインでグループディスカッションを実施したのですが、議論がなかなか始まらないんですよね。みんな様子見で。インターンが始まったときには、オンラインだからこそ、自分の意見をしっかり発信しなさいというのは、冒頭にちゃんと言っています。櫻井さんもそのようなことを感じませんか? 学生さんはオンラインだとなかなか自分のことを言わないですよね。
- 櫻井
- すごく感じますね。なので、ファシリテーターは非常に大事なんだろうなというふうに感じていますね。今回、私たちもウェブで面接や選考に切り替えたので、逆にその、面接の高位平準化みたいなのが図れるのかなとも思っていて。録画することで、今まで俗人的でブラックボックス化していた面接のやり方もオープンになってきています。すごくグリップを利かせられる面接官はどのように面接を行っているんだろう?というポイントは、そこから引き出して共有できるようになったので、個室で面接をするよりも、ウェブで実施したことによって、次年度以降、それを活かせられるのではないのかというふうに感じています。
「ポテンシャル」と「スキル」をバランスよく見極める
- 阪
- チャットでのご質問で「学生さんの志望度や理解を選考の中で重視をするのか、その学生さんが持っていらっしゃるポテンシャルを引き出して重視するのか?」といただきましたが、バランスについてはいかがでしょうか?」
- 櫻井
-
難しいです。質問返ししたいぐらいです。求める人物像に立ち返る必要はあると思っています。二極化するのかなと思っています。ポテンシャルで採るところと、スキルを見て、やってきたことを見て採るところ。これをごちゃ混ぜにして考えてしまうと、見極めって難しいのだろうなと思っています。ですので、もっと入口の段階から、「ここは成長させるからポテンシャル採用で行くんだ」とか、一方で「こっちはちょっと、このスキルがないとなかなか難しいし、こういうキャリア築いてもらいたい」というようなところを明確にした中で、採りにいく活動をしていかないといけないな、と強く感じているところです。
- 保坂
- そうですね、なかなか難しいです。櫻井さんは、技術系なので、確かにスキルを明確にすることは本当に大事ですよね。当社だと総合コースはポテンシャル採用ですので、一定、当社で活躍が期待できる能力があることをベースにしています。ただ、入社して辛いことがあったときに、入りたくて入ってくれた学生のほうが、最後の踏ん張りが利くのかなと思うところもあるので、同じ能力だったらやっぱり志望度高い方にきてほしいなと思ってしまいます。
オンライン選考における内定フォロー
- 阪
- 最後のご質問ですが、「このまま学生さんとの接点がオンラインで完結してしまったときの内定後のフォロー等の取り組みは?」ですね。内定者に対して、何か気になっていらっしゃる点や取り組みはありますか?
- 櫻井
- そうですね。弊社は内定式をやめて、内定者のプラットフォームを作って、そこで双方向でやりとりをしていただくことで入社までの不安を払拭するというところと、入社に向けてワクワク感を醸成しようというところで取り組んでいます。だから一方的に課題を与えてやってもらうとかではなくて、横同士の繋がり、内定者同士の繋がりを重視して、そういうプラットフォームを作って、運用しています。そのほうが、結果的にこの会社に入って楽しそうだなとか、モチベーションに繋がっていくのだろうなと思っているので、そういうかたちにシフトしているという状況です。
- 保坂
-
櫻井さんがおっしゃるとおり、内定者同士の繋がりが本当に大切だなと思っています。特に今年は、コロナもあって、直接の接点があまりないまま、内定を受諾して内定式を迎えてという学生が多くて不安があるだろうなと思っているので、内定者同士の相互理解だったり、そういうものを深めるためのウェブ交流会だったり、ウェブセミナーで仕事を理解したり、内定者同士の相互理解を図ったり、ということはやっています。
ただ、ウェブだとやはり、人間の温度みたいなものを感じにくいので、当社では昨日、内定のタイミングに合わせて、手書きのメッセージ付きの名入れボールペンを送って、人間の温度みたいなものも感じてもらえたらなという工夫を、細かいですが、しました。
- 阪
-
そういうところもやはり、大事になってきますね。学生さんの話を聞くと、自分の習熟度がわからなくなって、不安になるという話もありますし。では今度、内定したら内定したで、同期の中で自分がどういう位置づけなのかなとか、どれぐらい理解しているのかなというレベル感の不安点もあると思うので、学生さん同士がどう繋がっていけるかも含めて、取り組んでいく必要が、オンラインならではの課題であるのかなと思っているところです。
最後に、お二方よりメッセージをいただければと思います。
- 櫻井
-
メッセージというか、私自信も悩んでいますので、また皆様にお知恵をいろいろお借りしたいなというふうに思いますが、個人的な私の意見というか、考えですが、オフラインなったとしてもオンラインになったとしても、「この人にきてもらいたい」や「この人に会いたい」など、そういう熱意に最終的には行き着くのではないかなというふうに思っているんですね。そこで、その熱意をどう伝えるかを、やはり考えていきたいと思っていて、あとはその手段のところだと思うので、手段は時代に合わせて考えていったらいいんじゃないかなというふうに思っています。
もう一つが学生に、もう少し寄り添った採用活動計画みたいなものができるんじゃないかと思っていて、この、3月‐6月のルールはあるとして、でももっと柔軟に、私たちが決めたところの土俵で戦わせるのではなくて、学生に寄り添ったところでの計画みたいなのを立てていきたいなと思っています。今後も、学生に寄り添った採用活動とはなんぞや、というところを、皆様と意見交換をさせていただきながら見つけていくことで、学生にとってのいい採用に落ち着きたいなと思っています。今後も、逆にいろいろと意見交換させていただきながら、いい採用を作っていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
- 保坂
- 本日はありがとうございました。私も櫻井さんと同じで、やはりこのwithコロナの時代で、どうやって学生に情報発信をして、お互いに理解をして、そして不安なく当社にきていただけるのか、すごく悩みが多いです。今日ご覧いただいている採用担当の方も、きっと同じなのではないかなと思っています。ぜひ、今後もいろいろ情報交換をさせていただいて、学生が不安のない就職活動が送れるような、そんな環境を作っていけたらいいなと思っています。本当に今日はありがとうございました。
- 阪
- ありがとうございました。櫻井様、保坂様、本当にありがとうございました。
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