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「キャリア人材を引き付けるPRから入社までの戦略とは?」を開催しました

出演者

横手 優太 様

株式会社ジェーシービー 人事部 人事グループ 主事

横手 優太 様

2010年、新卒で株式会社ジェーシービーに入社。調査部、支社の営業部(大阪・広島)を経て、2018年より人事部にて従事。人事部では新卒採用のチーフを経験した後、現在は人事部人事グループにて全社の人事運用ならびにキャリア採用を担当。キャリア採用では各種施策遂行、企画運営を担う。

岡野 玄

株式会社ワークス・ジャパン

岡野 玄

近藤 未来

株式会社ワークス・ジャパン

近藤 未来

近藤 近藤
これよりワークスレビュー「キャリア人材を引きつけるJCBのPRから入社までの戦略とは?」を開催します。企業の成長戦略に欠かせないキャリア人材をどのように獲得していくのか、株式会社ジェーシービー様は組織力強化のため、2022年4月、専門職群という新たな職群を策定し、専門的な能力・スキルを擁する人材を中途採用においても招き入れるべく、戦略的な取り組みを進めておられます。特定の人材へのアプローチ方法、求職者の見極め方、オンボーディング*1など、考え方やシステムの見直しを図り、より自社にマッチした人材を採用する施策を強化中とのこと。今回は、株式会社ジェーシービー人事部人事グループ主事横手優太様をお招きして、キャリア人材を引きつける具体的な取り組みと今後の展望をレビューします。横手様は2010年新卒で株式会社JCBにご入社され、調査部、営業部を経て、2018年より人事部においてご活躍です。人事部では新卒採用のチーフを経験した後、現在は人事部人事グループにて全社の人事運用並びにキャリア採用を担当されており、キャリア採用では、各種の施策に取り組む一方、企画運営を担っておられます。
冒頭で趣旨とゲスト様のご紹介をさせていただき、その後、①PR手法について、②応募者の見極め・グリップについて、③入社までのフォローについて、の3テーマを中心に視聴者からの質問に答えていただくトークセッションを行います。

*1 新たに採用した社員が早期に組織に馴染み、活躍しやすい環境を整えるための施策のこと。「船や飛行機に乗っている」という意味の「on-board」から派生した言葉。

年間90名のキャリア採用を実施
強化領域は「デジタル」「IT×英語×決済」

岡野 岡野
本日ファシリテーターを務めさせていただきます岡野と申します。よろしくお願いします。早速ですが、横手様は2018年から人事部でお仕事をされていると伺いました。
横手 横手
はい、短い期間ですが、新卒採用を担当しました。
岡野 岡野
今はキャリア採用でご活躍中ですが、JCB様も2022年の4月に専門職群制をスタートさせ、キャリア採用を強化中ですね。最初にJCB様のキャリア採用についての概要を伺えればと思います。
横手 横手
JCBのキャリア採用数は、大体年間で90名程度です。弊社では、総合職群、専門職群、習熟職群と呼ぶ三つの職群があります。そのうちの二つ、総合職群と専門職群でキャリア採用を実施しています。30~40部署において、最大55ポジションでの採用です。キャリア採用に携わっているのは、専任担当者2名と、サポートメンバー3名の計5名です。 採用課題となっている領域が二つあります。一つはどの企業様も今必要としているデジタル人材の領域です。もう一つは、弊社ならではのところですが、決済知識もありながらグローバルな仕事ができる、「IT×英語×決済」といった、かなり特定の領域になります。
岡野 岡野
年間90名採用とのことですが、ここ数年の推移でみると、どうなりますか。
横手 横手
2022年度は90名を募集しており、昨年度も90名弱、年間で採用しています。その前コロナで一部落ち込んでいた時は50名程度の時もありました。2017年ぐらいまで遡ると実は年間で20~30名だったので、ここ数年で採用数は、2、3倍になっています。新卒採用からシフトしているわけではなく、新卒採用も1.2~1.5倍まで増やしている状況です。

ダイレクトリクルーティングを開始
採用ホームページやYouTubeも活用

岡野 岡野
さて、ここからはトークセッションに移りますが、その前に現在の中途採用の手法について一般的にどんなものがあるのか、簡単におさらいしてから進めたいと思います。業者さんを通じてのサービスと、自社の独自活動がありますが、最近は自社採用サイト、オウンドメディア*2の活用があります。それからSNSを使ったソーシャルリクルーティングがあります。さらに、自社の社員から紹介を受けるリファラル採用という手法、退職者の再雇用を図るアルムナイ採用など、多彩な方法があります。JCB様の取り組みについて教えてください。

*2 自社で保有・運営するメディアのこと。特定の目的(キャリア採用もその一例)を持って情報発信するツールとして活用されている。
横手 横手
業者さんを通じての取り組みは継続的にやっています。また、自社採用サイトの活用はかなり力を入れています。リファラル採用やアルムナイ採用については、検討の余地はあるかなと思っていますが、施策としての取り組みには至っていません。
岡野 岡野
では、トークセッションに移ります。「キャリア採用のPR手法」について、伺えますでしょうか。
横手 横手
母集団形成も含めたアプローチ方法をご紹介します。ここは基本的にはエージェント様経由での作業がメインです。もう一つは1年前ぐらいから、エージェント様がプールする人材に対するダイレクトリクルーティングの活動を開始しています。母集団形成のPRという観点ですと、弊社のキャリア採用ホームページで行っているほか、YouTubeにJCBの公式アカウントを作り、そこにキャリア採用の紹介動画を掲載しています。一時期、ヘッドハンティングに近い採用を試行したこともありました。ほかに、ビジネスでの利用が多いSNSのLinkedIn(リンクトイン)の活用も最近、取り組みを始めました。元々はエージェント様一本足打法でしたが、採用に苦戦する部分については、ダイレクトリクルーティングを活用して、個別にフックしに行くことをやり始めています。

書類選考後、3回の面接を実施
内定後、部署面談で魅きつける

岡野 岡野
続いて、見極め、グリップについて深掘りさせていただければと思います。
横手 横手
前提として弊社が今取り組んでいる採用の流れを簡単にご紹介させていただきます。応募が届くと、人事と募集部署で書類選考をします。そこでOKとなった場合、3回の面接を行っています。最初に募集部署の管理職による面接、次に人事の管理職による面接、最後に人事の部長クラスの面接という順序です。そこで合格となると内定を出し、条件面を提示するオファー面談を行います。その後、マストではありませんが、魅力づけのために部署面談等をする場合もあります。また、見極めの要件ではありませんが、参考指標としてSPI(適性検査)を活用しています。新卒採用では、面接で確認するポイントを明確にしていたのですが、従来、キャリア採用では体系だったものを準備していませんでした。しかし、キャリア採用の人数も増えてきたので、部署の面接、人事の面接、それぞれの担当者が確認すべきポイントを明確にした30ページほどのハンドブックを作成しました。
岡野 岡野
見極めにAIを使っているとお聞きしましたが。
横手 横手
キャリア採用で入社した方の状況とSPIの数値の相関性について、AIを使って分析しています。キャリア採用者の活躍とSPIでみられる数値に一定の傾向が見受けられるので、今後、ブラッシュアップしながら判断指標の一つとして使えないか検討しているところです。

オンボーディングMAPを作成し
入社後のフォロー施策を明示

岡野 岡野
キャリア採用者の入社後のフォローについて、定着率を高めるためにどのようなことをなさっているでしょうか。
横手 横手
定着率を高めるための工夫、いわゆるオンボーディングは課題の一つだと思っています。入社前の施策として、必須ではありませんが、ワンクッションとして、一緒に働く部署の方と面談してもらう機会を作ってもらう場合があり、それは好評です。入社後のフォローでは、新卒者の場合、先輩がランチや飲みに誘うなどしてコミュニケーションを図る努力をしていますが、キャリア採用者に対して、どのように接すればよいのか、従来は戸惑いがありました。そこで、ランチに誘ってコミュニケーションを図るとか、在宅勤務が多い部署でも、最初の2週間は極力出社してもらって馴染んでもらおうという取り組みをしています。また、キャリア採用者は本来の仕事とは別に、申請書がどこにあるかわからない、といった社内手続きについて困っていることが多いので、JCBならではの“事務のお作法”を上手く伝えていく必要があります。定着率の高い部署は、こうしたことが自然にできているようです。定着率を高めるために、どのような施策が必要かをまとめて参考にしてもらうオンボーティングMAPも作成しました。また、半年で区切って、その期間に入社したキャリア採用者を集めて、同期入社の仲間として絆を深めてもらう交流の場を作りたいと考えています。
岡野 岡野
これまでの施策で、どれが効果的でしたか、という質問が届いています。
横手 横手
自社のキャリア採用ホームページやYouTubeは、非常によかったという声をいただいています。入口のところでJCBを見ていただき、そこから応募につながるという意味と、もう一つ最終的に他社と比較するうえで参考にしているとのことで、可視化するツールとして重要だと感じています。面接で会社の人が話していたことが本当なのか確認する、という使い方もなされているようです。
岡野 岡野
エントリーから内定までの期間は、どのくらいになりますか。
横手 横手
応募から内定受諾まで、約1カ月です。他社も検討したいという応募者もあるので、早ければよいというものでもなく、スケジュールが理由で辞退になるケースはないと感じています。

DX人材は8割以上がキャリア採用
事例公開や仕事の進め方のPRが奏効

岡野 岡野
キャリア採用における課題を各部署に浸透させる工夫について教えてください。
横手 横手
オンボーディングや面接での見極めのところは、始めたばかりでまだこれからなのですが、ダイレクトリクルーティングについては、各部署の協力を得て進めています。オファーの仕方、オファーを承諾してもらった後に人事が接触するのか、部署が接触するのか、といったことを明確にしてスタートさせました。アプローチから1次面接までは部署でやってもらう形で進めています。
岡野 岡野
各部署の募集情報(人物要件、条件)をどのように吸い上げていますか。
横手 横手
部署でどういう方が欲しいか、要件として立ててもらっています。それを踏まえてエージェント様にアドバイスいただきながら、転職市場に刺さる形で表現しています。弊社はキャリア採用で総合職も募集していますが、単にジェネラリスト募集というだけではダメで、初期配属くらいは明示しないと転職活動者がエントリーしにくいという助言を受けました。
岡野 岡野
応募者から見て、 JCB様の決め手となっているのは、どんなところでしょうか。
横手:決め手は二つで、会社の雰囲気と国際ブランドの決済事業を持っていること。前者は人の部分で、社風や企業文化。後者は仕事の醍醐味に魅力を感じるということです。
岡野 岡野
適性検査の使い方、実施のタイミングについての質問が届いています。
横手 横手
キャリア採用の場合は、部署による最初の面接でOKとなった後に実施しています。適性検査で採否を決めることはしておらず、次の面接での質問の参考として利用しています。新卒採用の場合は、エントリー数も多いので、面接に進む前のスクリーニングに利用しています。
岡野 岡野
DX人材の採用について工夫していることはありますか。
横手 横手
弊社にDXの専門家が集まるグループがあり、そこは8割以上がキャリア採用者です。採用ホームページで、プロジェクトを紹介するなどしていて、部署での取り組みや世の中に打ち出しているサービスについて伝えています。また、いわゆるアジャイル*3な手法による仕事の進め方についてIT系のメディアにしばしば取り上げられているため、転職希望者の好感度が高められているようです。一方、JCBではDX人材は専門職群になりますが、処遇は総合職と同じなので、突出して高い報酬ではありません。その点で他社に目が行く方はいるようで、課題になっています。

*3 「素早い」「機敏」を意味する言葉。ソフトウェアの開発手法の一つで、短期間で修正を繰り返しながら進めていくことで、トータルの開発期間を短くしようとするもの。
岡野 岡野
キャリア採用における特徴から課題に至るまで、率直に余すところなくお話いただいたのではないかと思います。本日は誠にありがとうございました。