採用活動
出演者
パナソニックコネクト株式会社
人事総務本部 人事戦略室 タレントマネジメント課 課長
濱岡 有希子 氏
パナソニックコネクト株式会社
人事総務本部 人事戦略室 タレントマネジメント課 主務
髙尾 浩貴 氏
2016年パナソニック株式会社にソフトウェアエンジニアとして入社。航空機機器のソフトウェア設計開発を6年間担当し、社内公募にて現在の人事企画担当に異動。現在は、人事データを活用したHR tech業務、社内公募制度等を担当。
ユニ・チャーム株式会社
グローバル人事総務本部 人事部 キャリア形成支援グループ
辻本 慎太郎 氏
2019年にユニ・チャーム株式会社に新卒入社。ジャパン営業統括本部にて2年間、流通企業に対する販売戦略提案に従事。2021年1月より現職。採用戦略立案から実行までを担当。現在は採用チームリーダー。
ファシリテーター
石川 弘太
司会
須田 直人
ジョブディスクリプションを設定することでジョブが明確に
~パナソニック コネクト~
- 須田
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皆さん、こんにちは。これよりワークスレビューを開催します。
人的資本経営の意識が高まる中で、社員は自らのキャリアを自律的に考え、企業も社員のキャリア自律を支援する必要に迫られています。今回のワークスレビューでは、パナソニックコネクト株式会社とユニ・チャーム株式会社にご登壇いただき、キャリア自律を支援するための社内公募制度、 キャリアチャレンジ制度について、目的や運用方法など、具体的な取り組みをレビューします。
- 石川
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本日ファシリテーターを務めますワークス・ジャパンの石川です。よろしくお願いします 。
まずはパナソニック コネクト様に、社内公募制度の概要をお聞かせ願います。
- 濱岡
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パナソニック コネクトは、パナソニックグループの中で、BtoB事業を担当している組織です。国内約1万人の社員がいます。
弊社の人事戦略は、自律的な挑戦、成長を促すことが基本です。2023年4月から人事制度を大きく更新することになりました。ジョブ型人材マネジメントを基盤として、従業員の自律成長を促していく人事戦略です。今日のテーマの公募制度は、単体の制度というより、全て連動した制度の1つと位置づけています。
- 濱岡
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ジョブ型人材マネジメントにはポイントが2点あります。
1つ目のポイントは、事業との連動です。事業戦略から必要なポジションをJD(ジョブディスクリプション)で定義しています。必要なポジションに適材を配置する考え方で、それを公募します。
2つ目のポイントは、組織責任者に権限を大きく委譲し、現場に合った運用をしてもらうことです。自分のチームメンバーを獲得するのもマネージャーの重要な役割です。公募制度を活用して魅力をアピールし、適した人材の獲得を目指してもらいます。
- 石川
- 公募の求人数、応募後異動までのフローについて教えてください。
- 髙尾
- 常時100ポジションほど公開していて、海外やマネジメントのポジションもあります。現在の等級や職種 に関係なく、皆さん応募できる形です。システム上でポジションを公開していて、全社員がそこを見て、自分の応募先を見つけて、応募する仕組みです。応募の後は、書類選考と面接後に合否通知があり、採用が決まると異動日の調整に入ります。一連の流れで2カ月くらいかかります。
- 石川
- 応募しても採用されない場合もあると思いますが、そういった方へのフォローは、どのようになさっていますか。
- 濱岡
-
この公募制度は、リスクフリーという打ち出し方をしています。応募したことは、合格するまで上司にもわかりません。1つのポジションに複数人が応募しても、採用は1人だけです。希望通りにならないことはあるので、落ち込まないでくださいと最初に伝えています。
また、採用にならなかった場合も、フィードバックがあるので、次の成長に活かしてもらう仕組みです。
- 石川
- では、急に「異動しちゃうの?」ということもあるのですか。
- 濱岡
- あると思います。ただ、良い人材を獲得することがマネージャーの重要な役割でもあるので、部下が成長できる環境を整えたり、コミュニケーションを取ったりしてほしいと考えています。そこは腕の見せ所です。
- 石川
- すでに社内公募を使われている方は、いらっしゃいますか。
- 高尾
- 社内公募制度自体は従来からあって、実は私自身も社内公募で異動してきました。以前はソフトウェアのエンジニアをしていたのですが、自分の手で人事制度を変えて、もっと会社の魅力を高めたいと考えて公募に手を挙げました。
社員のキャリア自立を促進、所属長も後押し
~ユニ・チャーム~
- 石川
- 続いてユニ・チャームの辻本様、制度の概要をお聞かせ願います。
- 辻本
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弊社はハイブリッドというか、ベースにあるのは総合職で、メンバーシップ型で、エコシステムを採用している という前提です。
その上で、我々が大切にしているのは、キャリアビジョン、キャリアプランを全社員が毎年必ず更新することです。10年間のライフプラン、キャリアプラン、今年1年どんなことにチャレンジするのかについて、毎年必ずアップデートして、社内のシステム上にアップし続ける制度があります。
このため、キャリア自律のために自助努力をすることが、文化として根付いています。その中で、機会を均等に与える目的で、キャリアチャレンジ制度を運用しています。
- 辻本
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ただ、こんなことにチャレンジしたいというための制度というよりは、ウィル・キャン・マストで、やりたいことがしっかりあり、自分がやらなければいけないことも理解していて、しっかりやれている。なおかつ、こんなことが今できる、みたいに3つの円の重なる部分が大きい人を引き上げていく制度です。
年に1回、エントリーしたい人を募る方式で、募集情報も応募情報もすべて社内のイントラネット上に公開されていて、いつでも誰でも見ることができます。入社3年目以降にエントリーする権利が発生し、49歳まで認めています。また50代には、兼務を認める別の形の社内公募制度があります。
以前は総合職で新卒入社した人は全員営業からスタートして、働きながらキャリアを考えていく制度でしたが、2022年から新卒も職種別採用に切り替えました。
- 石川
- ユニ・チャーム様のキャリアチャレンジ制度について、応募からのフローについて教えてください。
- 辻本
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ユニ・チャームでは、キャリアチャレンジ制度に応募する際に、上司の推薦コメントをエントリーシートに添えて提出する仕組みです。ただし、応募者が上司のコメントを見ることはできません。
人事で1次面接を行い、募集部門の責任者が2次面接をします。結果は現在所属している部署の上司が伝えます。不採用の場合、応募先からもフィードバックがあり、所属部署の上司の助言を得ながら、改めてキャリアプランを練り直してもらいます。
キャリア自律の意識は社内に浸透していて、実はeラーニングの活用率が100%です。
人気部門に人が集中しない形で運用
- 石川
- 従来の人事異動と、社内公募による異動の棲み分けは、どうなっているのでしょうか。
- 高尾
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社内ニーズによる異動は残りますが、その場合も、1 on 1(ワンオンワン:部下の育成を目的に行う対話型の面談)などで本人としっかり話し合って異動を決める形です。
- 辻本
- 弊社の場合は、10年間のキャリアプランを毎年提出してもらっているので、定期異動はありますが、本人のキャリアプランを尊重しています。
- 須田
- 視聴者の方からの質問です。現時点として、会社都合の異動と公募による異動の割合は、どのようなものでしょうか。
- 濱岡
-
現時点では、公募による異動は限られた数で、会社都合による異動が大部分を占めています。
今回人事制度を新しくして、公募の方に大きく軸足をずらしていこうとしています。
- 辻本
- 弊社のエントリーは、毎年30名くらいです。営業本部の中で支店の異動は会社都合でありますが、部門をまたぐ異動は、キャリアプランをベースに動かしているので、社内公募との比率で言うと、そんなに変わらないか、むしろ社内公募の方がちょっと多いくらいの規模感です。
- 須田
- もう1つ質問が届いています。公募で異動した場合、何年間はその部署にいないといけませんといったルールはありますか。
- 高尾
- そのポジションの仕事を1年間以上することが応募条件になっています。
- 辻本
- 弊社の場合、とくに制限はありません。ただ、エントリーするためには上司の推薦書が必要なので、お互いに納得感がないと、そもそも応募できないと思われます。
- 石川
- 今後、人の流動性が高まってくると思われるのですが、人手不足の部署がでてくるかもしれません。そこはどのようにお考えでしょうか。
- 濱岡
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ポジション起点なので、人気部門は競争率が高くなるだけで、人気部門に人が集中することはありません。逆に 募集していても応募が十分でない、ということは起こり得ます。
従来は「人事でなんとかしてよ」ということでしたが、新しい制度では、どのように魅力度を高めるかがマネジメントの方に問われます。以前は応募資格に等級が必要条件でしたが、それを撤廃したので、経験の少ない人でもチャレンジしやすい仕組みです。そこも活用して魅力を訴求していただければと考えています。
- 辻本
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当社の場合は、しっかりジョブを規定できているわけではないので、特定の部門に人が偏るリスクはあります。
ただ、キャリアチャレンジ制度で採用したい場合、1人採用したいなら、1人は別の部門に出してもらうという考え方で運用しています。
他部門の仕事内容を理解する仕組みを用意
- 石川
- 2社様とも各事業部の所属長の負担が大きくなってくる 形に思えますが、管理職向けの方への研修は、どうされているのでしょうか。
- 濱岡
- 2022年度だけでもマネジメントに特化した研修を 30時間以上実施してきました。コミュニケーションやキャリアを支援していくテーマを重点的に取り上げていて、ディスカッションを通して、具体的な悩みや成功事例の共有を図りました。非常に好評で、研修と実務を噛み合わせながら、少しずつレベルアップを目指しています。
- 辻本
- 弊社の考え方としては、目の前の自分の役割で、しっかり成果を求めるマネジメントをすることがマネージャーの役割で、キャリアのコンサルティングは、マネージャーの仕事ではないと考えています。キャリア形成支援自体は人事部門の責任で行っています。
- 須田
- 視聴者からのご質問です。キャリアを考えるにあたって、他の事業部の仕事内容を知る必要があると思うのですが、どうやって伝えていっていらっしゃいますか。
- 高尾
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JDを全社員に公開しているので、それで職種の仕事内容を確認することができます。
また、1 on 1は上司だけではなく、他の人にお願いすることもできます。そのポジションの 仕事を知りたい時に直接お願いをしてお話を聞くこともできます。
- 辻本
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弊社の場合は、社内インターンシップ制度があり、年に1回、自分の希望する部門で、数日間職務を体験する機会を提供しています。キャリアチャレンジ制度で異動する方の7割ぐらいが活用しています。
また、ユニ・チャームには、「共振の経営」(経営陣と現場の社員が一丸となって共通の目標に向かう仕組み)という考え方があり、グローバルも含めて全拠点をつなぎ、社長以下全員参加する「共振の経営実践会議」を毎週月曜日の13時から開催しています。この場で他部門の方の話を聞いたり、マネジメント層と現場がコミュニケーションを図ったりしています。
- 須田
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皆様ありがとうございました。2社様、それぞれ自社に合った形の制度設計や運用をされていることがわかりました。
以上を持ちまして、本日のワークスレビューを終了します。
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日系、外資系企業にて人事(グローバル人事、人材開発、HRBP)を担当。2019年パナソニック株式会社に入社。現在は、人事企画担当として、パナソニック コネクトのジョブ型人材マネジメント制度企画に従事。